手術療法
骨肉腫の治療は、抗がん剤治療と手術が基本となります。
骨肉腫の手術の原則として腫瘍を周囲の健康な組織と一緒に包んで切る事により、転移などを調べるものです。
この手術方法を、広範切除といいます。
また、骨肉腫の場合でも、手足の先まで栄養を送るための重要な血液や、手足を動かす事が出来る神経を残す事が出来れば、手足を残す患肢温存手術が可能で切断はしなくてすむ場合もあります。
医学の発展により、欠損した骨の部分には自分の骨を別の部分からとってきて移植したり、腫瘍用に開発した人工関節で骨の代わりをしたりします。
しかし、骨肉腫は成長軟骨のスグそばに出来るために、手術の際にココを残してあげる事がほとんどの場合できません。
特に成長気前のお子様の場合、これから身長が伸びる場合大変な決断だとは思いますが、切断の選択肢しか残されていない場合があります。
なぜかといえば、膝の成長軟骨をとってしまった場合、成長が終わるまでに病気がないほうの足に比べ10センチ近く短くなり、日常生活に役に立たなくなってしまうためです。
ですので、無理して足を残すより、思い切って切断して、義足での生活になれたほうが、かえって生活しやすいのです。
また、回転形成術を使えば、機能的に大腿で切断するより優れたものになりますので、生活においては、より支障のないものになります。
- 回転形成術とは・・?
この手術によって、逆になった足首が膝の役目をしてくれるようになる。
この回転形成術も、すばらしい医学の進歩といえますが、更に最近では延長する事が可能な腫瘍用の人工関節、その他にも骨延長術などが進歩しているため、成長期のお子さんでも積極的に患肢温存を試みるようになっています。
放射線治療
骨肉腫自体は、今では医学が発達しているとはいえ、放射線治療が効きにくい腫瘍です。
ですので今で言えば放射線治療で治るガンはたくさんあるのですが、骨肉腫に関していえば、メインでガン治療として使われる事はありません。
しかし、全く骨肉腫で使われないというわけではありません。
通常のガン治療とは使い方は少々異なっていて、骨肉腫の腫瘍の大きさや発生した部位の問題などから、安全に患部を切り取れない患者さんなどに対して、手術前や手術後に他の骨肉種治療の補助的な治療法として使ったりします。
抗がん剤治療
今でこそ多くの治療法がある骨肉種の治療ですが、実は昭和の45年以前では骨肉腫の治療法は手術のみでした。
更に、その当時では骨肉腫自体での再発率は大変多く、約9割の患者さんがさいはつしていました。
しかし昭和46年以降に抗がん剤を手術後に使うようになってから再発率が劇的に下がり、治癒率を上げる事が出来ました。
また、手術前にも抗がん剤を使う事により、腫瘍を小さくして手術をしやすくするだけでなく、患肢温存手術などを可能にしました。
このように抗がん剤の治療で骨肉腫の治療の幅が増えたことにより、患者さんの完治率も大変希望のあるものになってきました。
抗がん剤を使った治療法で標準的なものは、3ヶ月程度の抗がん剤治療の後に手術を行い、摘出した腫瘍で抗がん剤の効果を見た後に、その効き方に応じて更に1年程度の抗がん剤を追加していくというやり方になっています。
また、使われている抗がん剤で基本的なものとしては
- メソトレキサート
- シスプラチン
- アドリアマイシン
この3剤となっていて、イホスファミドを加える事もあります。
また、各抗がん剤の副作用についてですが、全体的に関していえば嘔吐、口内炎や白血球現象に伴う感染症などが一般的ですので、抗がん剤使用後は注意が必要です。
これ以外には、各抗がん剤で副作用があるので、参考にして下さい。