胸腺腫と胸腺ガンについて
胸腺とは、心臓の上部分にある白血球を作っている臓器です。
大きさ的には握りこぶしくらいです。あまり聞きなれない臓器ですが、幼児期から小児期にかけては、体の免疫を担う重要な働きをしていきます。
また、成長するにしたがって徐々に小さくなっていき成人になると退化してその働きを終え脂肪組織となります。
胸腺腫は、本来退化していく胸腺の細胞から発生していく腫瘍です。
ガン細胞が増殖していくスピードは比較的にゆっくりしていて、胸腺の外の細胞に広がる事は稀ですが、進行していけば肺や心臓までも広がっていきます。
胸腺ガンは、前までは胸腺腫の一部として扱っていましたが、増殖のスピードが速く、別の場所に転移する性質のものを胸腺ガンと呼んでいます。
胸腺腫、胸腺ガンは、共にガン細胞が大きくなってくるにつれ、周囲の臓器を圧迫してきたり、周囲の細胞に広がる事によって、セキ、痰が出やすい、呼吸困難、うっ血などの症状が現れてきます。
ですので、ガン細胞が大きくなってるまでわかりにくく、初期の段階では無症状の場合がほとんどで、定期健診や人間ドッグなどのレントゲン検査などで偶然発見される事がほとんどです。
また、このガンの傾向として、他の病気を持っている場合が多く最も多いのが重症筋無力症です。
この病気は体を動かしていると疲れてしまうという病気で、まぶたが下がったり、字が書けなかったり、息苦しいなどの症状が出てきます。
特に夕方になってくると症状が強くなってきます。
胸腺腫、胸腺ガンは、基本的に30歳以上の成人に多く見られる病気で、男女の発生率の差はありません。
このガンは稀な病気で、肺ガンに比べると発生率は1%程度です。
胸腺腫、胸腺ガンの治療法など
胸腺腫、胸腺ガンは、基本的には手術が一般的な治療法です。
手術で胸腺のみを摘出した場合、ほとんど問題なく日常生活がおくれるようになります。
しかし他の臓器への転移などから、他の臓器も摘出した場合、それに伴う症状も出てきますので、注意が必要です。
また胸腺腫、胸腺ガンは、転移が起こりにくいガンである事も知られています。
転移の心配があるとすれば、胸腺ガンですが、診断時に転移されていることも多いので、担当医としっかり相談しながら経過を見なければ