肝ガンの治療方法
肝ガンの治療は手術治療、局所療法、肝動脈塞栓の3つが中心になります。
肝ガンになった患者さんは、ガンと慢性肝疾患という2つの病気を抱えています。そのため肝ガンの場合、ステージと肝機能の状態も加味した上で慎重に選択する必要があります。
肝ガンの治療法には独特なものが多いため、しっかり把握しなくてはいけません。
手術療法
肝切除
ガンとその周辺組織を手術によって取り除く治療です。
肝切除をするかどうかは、ガンの位置や大きさや、肝機能の条件など様々な条件を元に慎重に決定していきます。
一般的には、単発で大きなガン組織や、肝臓の機能が保たれているようなガンの場合、肝切除が選択されます。
黄疸などの肝機能が十分でない患者の場合、肝切除を選択した場合、肝臓が機能しなくなる肝不全を起こす可能性があり、手術の適用は限られてきます。
肝臓には8つの区画に分けられるのですが、その場所は『番地』で分けられていますので、この区分を参考に切除場所を決定していきます。
肝移植
肝臓を全て摘出後、ドナーからの肝臓を移植する治療法です。
適用は、転移がない場合のみです。
局所療法
局所療法
局所療法とは、体の外から針を刺して治療をする療法をまとめて呼ばれる方法です。
穿刺療法とも言われ、体の負担が、通常の手術に比べ、比較的少ないところから最近よく取り入れられている治療法です。
しかし、どんながん細胞でもこの術式が取れるというわけではなく、ガン細胞の大きさが3センチ未満、3個以下が対象にされています。
副作用も少なく、短期間で社会復帰できるというメリットがあります。
- エタノール注入療法
無水エタノールを肝ガンの中に注射してガン細胞を死滅させる方法です。
しかし、エタノールの注入には痛みがあります。
術後に発熱、腹痛、肝機能障害などの合併症が起こることもあります。
- ラジオ波焼灼療法
この治療法は比較的に新しい方法になります。
特殊なハリを肝細胞に刺し、通電する事で、ハリの先端から高熱が発生してガン細胞を死滅させます。
時間的には、20分程度ですが,焼く時に痛みがあるために、鎮痛剤や静脈麻酔を行います。合併症なども起こります。
しかし、エタノール療法に比べ少ない回数に比べ優れた効果が得られることから最近ではラジオ療法が主流になってきています。
その他の特殊な治療法(肝動脈塞栓術,肝動注化学療法)
肝動脈塞栓術(TAE)
ガンに栄養を運んでいる血管を人工的に塞ぎガンを完全に兵糧攻めにする治療です。
通常は、血管造影検査に引き続き行われます。
カテーテルの先端を肝動脈のところまで進めて、詰め物をして肝動脈を詰まらせます。
そうした後は、詰め物は自然にとけ、血液は元通りに回復します。
この方法は、ガン細胞の個数に関係なく治療が出来他の治療とも併用できるため、多くの患者さんに対して行われます。
合併症なども起こる可能性もありますので、担当医の方の指導をしっかり聞いてください。
肝動注化学療法(TAI)
この治療方法は抗がん剤と肝ガンに取り入れられやすい造影剤を混ぜ、投与する治療方法です。
この方法は、TAEと併用して行われることが多く、この場合にはTACEとも呼ばれます。
放射線治療と抗がん剤治療
放射線治療
多くのがん治療で行われる放射線治療ですが、肝臓に放射線を当てると正常な肝細胞に悪影響を与えますので最新の注意が必要です。
最近は陽子線、重粒子線などの範囲を絞り込める放射線も出ていて、肝ガンの放射線には有効です。
抗がん剤治療
抗がん剤の治療には、肝動注化学療法が行われることがほとんどです。
抗がん剤治療は標準的な治療で期待できない場合などに行われます。
肝ガンへの適応が許可されている抗がん剤も複数ありますが、治療効果についての評価はまだ定まっていません。